電気脱毛やニードル脱毛、針脱毛は、現在主流のレーザーや光脱毛よりも歴史の長い脱毛方法です。他店との差別化や、お客様のニーズにさらに応えるために電気脱毛の導入を検討しておられるでしょうか。
そもそも電気脱毛とは何なのか、ニードル脱毛や針脱毛とは違うのか、サロンで施術可能なのか。あいまいになっているかもしれない疑問点にお答えします。
電気脱毛とは
電気脱毛とは、毛穴にプローブといわれる極細の針を挿入し、微弱な電流や高周波を流すことで、毛の発毛機能に作用して、毛の再生に影響を与える脱毛方法です。
「ニードル脱毛」や「美容電気脱毛」「針脱毛」などとも呼ばれ、大きくは同じ脱毛方法を指しますが、正確には、医療機関で行われるものを「ニードル脱毛」または「医療針脱毛」、エステサロン等で行われるものを「美容電気脱毛」とよびます。
毛には、成長して抜け落ち、また新しい毛を作るという毛周期があり、皮膚表面に出ている毛は全体の3分の1程度です。
皮膚表面に見えている毛を1本ずつ処理後、次に伸びてきた毛を処理することを繰り返すことで脱毛を進めます。
本ページでは、エステサロンで実施されている美容電気脱毛を中心にご紹介します。
電気脱毛の種類
電気脱毛には4つの方法があります。
- 電気分解法
- 高周波法(フラッシュ法)
- ブレンド法
- 絶縁針脱毛
現在、1~3がエステサロンで実施されています。
電気分解法
電気分解法とは、針から流した電気により毛包内の水分を分解、発生した水酸化ナトリウムにより毛が生える部位にダメージを与える方法です。
1本あたり60~80秒ほどかかります。
高周波法(フラッシュ法)
高周波法とは、針に高周波を流し、毛が生える部位のたんぱく質を熱で凝固させる方法です。
フラッシュ法とも呼ばれ、高周波の出力が高いフラッシュ法と、低いマニュアル法があります。
通電時間は0.03秒以下で電気分解法よりも早く施術できます。
電気脱毛の中で最も痛みが少ない方法です。
ブレンド法
ブレンド法とは、電気分解法と高周波法を組み合わせた方法です。
アルカリ液(水酸化ナトリウム)と熱で効果を高めます。
通電時間は10~15秒ほどで高周波法ほどではありませんが、電気分解法よりも早く施術できます。
絶縁針脱毛(医療針脱毛)
絶縁針脱毛とは、絶縁針を毛穴に刺して電流を流し、電流の熱で毛乳頭を破壊する方法です。
仕組みは、高周波法と同じですが、絶縁針は医療機関でしか使用できません。
絶縁針とは、針の肌に触れる部分を特殊コーティングした針で、電流が肌に触れないため、皮膚を傷めずに施術ができます。
いずれの方法も毛穴に針を刺し、毛乳頭を直接刺激する方法です。適切な向きで、適切な深さに針を挿入する必要があり、正しい知識と技術が求められる方法になります。
医療脱毛との違い
電気脱毛は、医療機関でもエステサロンでも行われていますが、違いがあります。
サロンでの電気脱毛 | 医療機関での電気脱毛 | |
---|---|---|
永久脱毛 | × | 〇 |
肌への負担 | 比較的大きい | 比較的少ない |
使用する器具 | 先が丸く、細くて弾力性があるプローブ | 絶縁針 |
機器の出力 | 低い | 高い |
麻酔 | × | 〇 |
血液検査 | 不要 | 必要 |
医療機関では、絶縁針を使用することにより、肌への負担を減らし高い出力で施術できるため、永久脱毛が可能です。
また、強い痛みに対して麻酔が可能な点も大きなポイントです。麻酔は、注射だけでなくクリームタイプのものもあります。
永久脱毛について
永久脱毛とは、
「一定の脱毛施術を行った後に再成長した毛の数が長期的に減少すること、その状態が成長サイクルよりも長く安定していること」
「最終脱毛から1ヶ月後の毛の再生率が20%以下」と定義されています。
電気脱毛はFDA(アメリカ食品医薬品局【日本の厚生労働省にあたる機関】)が永久脱毛であると認めた脱毛方法です。
しかし、毛根など体の組織を破壊するような行為は医療行為とみなされ、サロンでは施術ができません。
そのため、サロンで施術する美容電気脱毛は、永久脱毛とは言えません。
しかし、永久脱毛に近い効果を期待することができます。
電気脱毛は美容サロンで施術可能か
現状、エステサロンでの電気脱毛の施術は可能です。
ですが、美容電気脱毛は医療行為であり、サロンでの施術は医師法違反といわれることもあります。それぞれの根拠は以下の通りです。
【医師法違反とする根拠】
1984年厚生省通知
警察庁保安部公害課長照会の下記内容について、
と通知しています。
2001年 厚生労働省通知
以上から美容電気脱毛は医師法違反であると指摘される場合があります。
しかし、法制化されているわけではないため、法律違反となるとは言えない状況です。
【医師法違反ではない根拠】
1997年11月第141回国会・衆議院厚生委員会における、厚生省の見解・提言
上記の提言を踏まえて
電気脱毛に関連する業界の組織、日本スキン・エステティック協会はエステサロンにて電気脱毛を施術する場合、3つの必須条件を提言しています。
これらのことから、エステサロン等で電気脱毛の導入は可能ではありますが、お客様へ安心して施術を行うためには、資格の取得や高度な技術・知識が必要と考えられます。通常の光脱毛よりも導入のハードルは高いと言えます。
【電気脱毛に関する主な資格】
CPE(認定電気脱毛士)
アメリカの電気脱毛士のクオリティを管理するAEA(米国電気脱毛協会)が、推奨している資格。
日本では、日本スキン・エステティック協会(JSA)が実施している。
有効期間5年間。
- 有効期間内に75時間分のセミナーや通信教育を受講する
- 5年後に再受験する
どちらかが必要。
JBEA認定美容電気脱毛エステティシャン
日本美容電気脱毛協会(JBEA)が実施している資格。
受験には、指定されたカリキュラムの修了が必要。
試験合格後、登録手続きが必要。
有効期間は5年間の更新制。
JBEA認定美容電気脱毛技術者
日本美容電気脱毛協会(JBEA)が実施している資格。
受験資格には、
- 実務経験
- 指定資格の保有
- 指定カリキュラムの修了
いずれかが必要。
試験合格後、登録手続きが必要。
有効期間は5年間の更新制。
参照:日本美容電気脱毛協会
CRE(認定登録脱毛師)
日本脱毛技術研究学会(JES)が実施している資格。
実技試験の受験には、1年以上の実務経験が必要。
資格の継続保持には、3年間で15点のポイント取得が必要。
ポイントの取得は、学会が主催する勉強会や総会等で講習を受けると得られる。
参照:日本脱毛技術研究学会
電気脱毛のメリットデメリット
電気脱毛は、毛1本1本を処理する脱毛方法です。光脱毛やレーザー脱毛といった光を照射して脱毛効果を期待する方法とは大きく異なります。
メリット
即効性がある
毛穴一つずつに専用の針を刺して施術するため、その場で毛が抜けます。施術当日に処理した分の毛は確実に減らすことができます。
ただし、施術には時間がかかるため、一度に施術できる毛穴の数は限られます。
毛質・肌の色を問わず施術できる
毛穴に直接アプローチする脱毛方法のため、毛の色や肌の色は施術に影響しません。
そのため、白髪や産毛にも効果が期待でき、日焼け肌や色素沈着した肌はもちろん、ほくろやタトゥー上の毛にも施術が可能です。
硬毛化した毛にも施術可能
硬毛化とは、光脱毛やレーザー脱毛の刺激により、脱毛前よりも濃く太い毛が生えてくる現象です。
硬毛化した毛は、メラニンを多く含みますから、光脱毛やレーザー脱毛を続けたり、照射レベルを上げることで、改善する場合もありますが、照射エネルギーが足りず、改善しない場合もあります。
電気脱毛なら、毛穴に直接アプローチするため、効果が期待できます。
幅広い部位に施術できる
施術可能な部位は非常に多く、腕や足、ワキといった部分はもちろん、光脱毛やレーザー脱毛では対応が難しい、陰部の粘膜部分、目の周辺などでも施術が可能です。
一本一本対応するため、眉などデザイン性の高い脱毛も可能です。
デメリット
痛みが強い
電気脱毛の最大のデメリットは施術の痛みです。
針を刺すとき、針に電気や高周波を流すときに痛みを感じます。
人によって痛みの感じ方はさまざまですが、人によっては、痛みが強すぎて施術を続けられない場合もあるほどです。
施術後の肌トラブルのリスク
毛穴内部に直接針を刺すため、施術部分の周辺の肌にもダメージを与える可能性があります。施術後に赤みや腫れ、炎症といった肌トラブルが起こる場合があります。
たいていは一時的なものですが、火傷や色素沈着など長く続いたり、治療が必要になる肌トラブルのリスクもあります。
時間がかかる
毛を一本ずつ処理する脱毛方法のため、施術には時間が掛かります。
広範囲の施術を完了させるには、かなりの回数が必要になります。
おおよそ、1分間に処理できるのは、10本
1回の施術では、600~1000本といわれています。
例えば、ワキは、片方で1500~2000程度、両ワキで3000~4000程度の毛穴があるといわれているため、全てを処理するためには、単純計算だと3回から7回の施術が必要となります。
ただし、毛周期等を考慮すると、完全に脱毛を完了させるには、おおよそ10回程度必要です。
毛の長さが必要
電気脱毛は、生えている毛をピンセットでつまんで針を挿入します。そのため、施術には、3~5mmほど毛が伸びていなければいけません。
施術可能部位
施術は、基本的にどの部位でも可能です。
ただし、広範囲の部位には適していないため、顔、ヒゲ、VIO、ワキなどの狭い範囲の部位がおススメです。
男性のヒゲは、レーザー脱毛や光脱毛では照射漏れ、増毛化や硬毛化などにより、完全に処理することが難しく、脱毛の仕上げに施術を希望する方も多いです。
料金相場
料金は、本数か施術時間で決められます。
本数の場合、1本あたり100~1,000円ほど、
時間の場合、1分あたり200~500円程度です。
時間の単位は、5分、10分、15分など様々です。
サロンやクリニックによって、価格やコース、プランは変わり、無料カウンセリングや無料体験を実施している場合もあります。
レーザー脱毛や光脱毛をせずに、はじめから電気脱毛を受けると、費用は非常に高額になります。
導入しているサロン
美容電気脱毛を導入しているサロンをご紹介します。
- TBC(※名称:スーパー脱毛)
- MEN’S TBC(※名称:スーパー脱毛)
- ミスパリ
- ダンディハウス
- Sincerely(シンシアリー)
- Alonso
- トータルビューティフィット
ご紹介したサロンは一部です。上記以外にも実施しているサロンはあります。
導入されているマシン
現在、エステサロンで導入可能な美容電気脱毛機器をご紹介します。
- CYBERBRAIN
- ヒンケル UC-2
- ヒンケル UC-3
- パピス TG-5100
電気脱毛をおすすめできるお客様・できないお客様
電気脱毛はメリットもありますが、デメリットも大きいです。お勧めできるお客様は限定されます。
電気脱毛をおすすめできるお客様
- わずかなムダ毛を処理したい方
- 色素の薄い毛を処理したい方
- 色素沈着などの肌の色が濃い部分を処理したい方
- レーザーや光脱毛で処理しきれなかった残りの部分を処理したい方
電気脱毛をおすすめできないお客様
- 痛みに弱い方
- 施術したい範囲が広い方
- 予算や時間が取りにくい方
脱毛方法の種類
電気脱毛は、効果の期待できる脱毛方法ですが、広範囲の施術には向いていません。そのため、他の脱毛方法と併用して施術するのが現実的です。
レーザー脱毛
黒いものに反応する単一波長のレーザーを照射することで、毛の組織にダメージを与え脱毛効果を得る方法です。
照射エネルギーの高さから威力が強いため、施術には医師免許が必要です。
光脱毛
肌に照射したライトにより、毛根やバルジ領域にアプローチすることで、毛が生えるのを抑制する方法です。
現在、エステ等で導入されているのは、ほとんどが光脱毛の脱毛機です。
光脱毛には、いくつかの方式があります。
- IPL方式
- SHR方式
- SSC方式
- LED脱毛
LED脱毛は新しい脱毛機です。光源にLEDを使用した脱毛機で、従来の光脱毛機よりも、痛みを抑えつつ高い効果が期待できる脱毛機です。
まとめ
電気脱毛は、毛穴1本1本に針を刺し、電流や高周波を流す脱毛方法です。
ニードル脱毛や針脱毛などとも基本的には同様の脱毛方法ですが、エステ等で施術できるのは美容電気脱毛、クリニック等の医療機関ではニードル脱毛や絶縁針脱毛などと区別されています。
サロンでの施術は可能ですが、施術の性質上、正しい技術や知識を身につけ、資格を取得することが大切です。
これは光脱毛の施術においても大切ですが、美容電気脱毛のほうが導入のハードルは高いと言えます。
痛みなどのデメリットも大きい脱毛方法ですが、効果や特徴からレーザー脱毛や光脱毛で処理しきれない毛の悩みを持つ方に一定の需要がある施術です。